理事長所信(ご挨拶)

2017年度年理事長  三国 博之

            【2017年度氷見青年会議所スローガン】

不易流行
~己を律し 己を魅がこう~

 

           創立宣言文
           今、世界の五極時代に対し我が日本はその一翼に参ずる現在、20世紀後半に果たすべ
           き青年の今日の課題は新しく展くべき日本海時代そして列島改造の流れの中に、先人の
           築き上げた地域社会の歴史的文化と共に、清く美しく発展すべく、新しき氷見市の理想
           像を求め、青年経済人として自己修練と英知勇気を集結し、ここに氷見青年会議所を設
           立する。
                                       昭和47年10月28日

 

           【はじめに】
            私たちの故郷は、何世紀にも渡り海越しに立山連峰が一望できる有磯海と山々が見守
           り緑溢れる大地と共に生きてきた。富山湾の豊富な恵みが産み出す漁業、地を耕し四季
           折々に育まれる農業の繁栄と共に、天からの恵みと自然の驚異に神を奉り五穀豊穣・無
           病息災・豊漁祈願のため執り行なわれる獅子舞を中心とした伝統文化。また、豊富な資
           源と水揚げされた海の幸が齎す食文化と物流からなる経済発展。この壮大な自然と共に
           日々生活を続ける私たちの故郷は掛け替えのない地であり、先人より紡がれてきた歴史
           的文化が途絶える、築き上げてきた経済が衰退するような事になってはいけない。
            昭和27年から 市制を施行し、その後昭和29年までに3回の合併を行い、全国で
           もまれに見る一郡一市となった氷見市ですが、過去の地名は諸説ある中、海の漁り火が
           見える場所、蝦夷防備の狼煙台を置いた土地などから「火見」と呼ばれていました。し
           かし、各地で火災が頻繁に発生し住民は火気を恐れ嫌う様になり縁起の悪さから地名に
           書かれる「火」から「氷」へと変え「氷見」となったと聞いています。
            昭和13年9月6日午前零時10分頃、富山県氷見町(現・氷見市)で火災が発生し
           ました。これが氷見大火です。この日は台風の余波で烈風が吹き荒れており、火はたち
           まち中心街に燃え広がり、1500戸を焼き尽くし町のほぼ全域が焼け、死者5人、負
           傷者258人、被害者7500人と氷見市の歴史上最も甚大なる被害を及ぼしました。
           しかし、町民の逞しい努力と地域全体での協力の元、氷見大火から復興を遂げた中心街
           は、賑わいを取り戻し新たに活気溢れる中心街へと変貌を遂げました。そして、この復
           興を祝い商店街復興祭が執り行なわれ、更なる賑わいを創出してきたのです。現在は「ひ
           みまつり」と名を変え、郷土への慈しみと氷見市民の心と心のふれあいの場へと目的を
           再構築し、氷見青年会議所と各種団体そして氷見市民全体でこのまつりを44年間に渡
           り盛り上げています。まさしく「ひみまつり」は新しき伝統文化と言っても過言ではあ
           りません。
            社会、経済、文化は、時代の背景と共に常に進化し新たに創出されていくものです。
           「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」即ち「不変の真理
           を知らなければ基礎が確立せず、変化を知らなければ新たな進展がない」、しかも「そ
           の本は一つなり」即ち「両者の根本は一つ」である。「不易」は変わらないこと、即ち
           どんなに世の中が変化し状況が変わっても絶対に変わらないもの、変えてはいけないも
           のということで、「不変の真理」を意味します。逆に、「流行」は変わること、社会や
           状況の変化に従ってどんどん変わっていくもの、あるいは変えていかなければならない
           もののことです。「不易流行」は俳諧に対して説かれた概念ですが、学問や文化や人間
           形成にもそのまま当てはまります。新しい時代・文化などが起ころうとする黎明期を迎
           えようとする今、我々は青年経済人として地域の現状を確りと把握し、新たな風「流行」
           をこの故郷氷見に齎さなければならないのです。

 

           【氷見市の現状】
            氷見市は少子高齢化や若者の地域離れなど多くの要因から過疎地域が増え、数十年先
           には消滅可能都市として指摘を受け危惧されています。氷見市人口6万人から今では5
           万人を切り毎年約400名ずつ減少し続けています。各地区では人口減少に伴い伝統的
           行事を開催できない、近隣との交流が減り地区全体で我が故郷を守る意識の低下など、
           先人が守り続けてきた古き良き風習から生まれる地域の活力が失われつつあります。更
           に、若者同士の地域交流も減り郷土に対する無関心へと拍車がかかり地域力の低迷に追
           い打ちをかけるなど深刻な状態です。
            人口の自然増加が見込めない中、行政はじめ各諸団体がこの重大な問題に対し親身に
           なって取り組んでいます。行政では、「氷見市まち・ひと・しごと創生総合戦略策定方
           針」を掲げこれまでにない危機感を持って、人口減少の克服と地方創生に取り組む必要
           があるとしています。また、経済的な分野からも地域内での消費流通の循環を充実させ
           各企業の成長の構築をはかるなど、各種関係機関がそれぞれの分野からプロジェクトを
           立ち上げ地方創生へと邁進しています。しかし、この深刻な問題を認識し、危機感を持
           っている市民は極一部にしかすぎません。私たちの故郷が無くなる。先人から引継がれ
           てきた伝統や文化が途絶える。「氷見」という市名が消えて無くなる可能性が十分にあ
           ることを市民全体で理解すると共に青年会議所が率先し魅力的な地域創り、更なる経済
           発展を醸成し新しき氷見市の理想像を求めることが必要だと考えます。

 

           【組織力の向上】
            活動や運動を推進する上で重要なのが組織力である。組織力とは、一定の共通目標を
           達成するために、成員間の役割や機能が分化・統合されている集団が団結すると共に、
           成員の能力を最大限に発揮させる力のことである。我々は、氷見青年会議所設立の目的
           である地域社会の歴史的文化と共に、清よく美しく発展する新しき氷見「明るい豊かな
           社会の創造」を求め氷見市内より我が故郷を愛する志高き青年経済人が集結している。
           44年に渡り氷見青年会議所の一員として氷見市に多大なる影響を与え続けてきた諸
           先輩方の英知と実績、経済人としての教え、氷見市民としての自覚と誇りを脈々と受け
           継いできた組織力は強固なものであり、この力を紡いでいくと共に新たな英知と実績、
           地域との関係資本を積み重ね更なる組織力の向上を追及していかなくてはならない。
            また、組織の力に絶大な影響を及ぼすのが会員数である。地域に変革を与え続けてい
           くためには途轍もないエネルギーが必要となる。志を同じうする多くの仲間が集うこと
           は言うまでもなく、地域に与えられる影響力は多大なものとなっていく。会の存続と言
           う意味ではなく組織発足と同時に会員の拡大は氷見青年会議所の目的を達成するため
           にも常に組織全体で取り組む必要がある重点事項なのである。
            我々は組織の一員として、会員の拡大、魅力的な組織創りに常に会員一人ひとりが意
           識を持ち活動や運動に勤めていくことが大切である。時代の背景と共に地域の課題や魅
           力は常に変化し続けているように、我々の組織も今の時代の先駆けとして常に進化し、
           魅力的な組織の構築を図り己を魅がき続ける事で社会から頼られる組織になり、青年会
           議所の目的である「明るい豊かな社会の創造」を推進する大きな原動力になる。

 

           【自己啓発】
            我々は青年経済人であり青年会議所の一員であることの自覚を常に念頭に置き行動
           しなくてはならない。社会活動や青年会議所運動を展開する中、多くの人と出会い責任
           を要し集う場が多々設けられる。その場では社会的ルールや社会的作法が求められ、青
           年経済人としては勿論のこと氷見青年会議所組織の能力が試される。しかし、私自身を
           含め社会全体を見渡すと我々はまだまだ未熟な青年である。人それぞれ成熟度合い、社
           会的思想は違うが、変革の能動者として自分自身の潜在的能力を引き出すための訓練を
           怠ってはならない。
            我々が所属する青年会議所は自己修練の場と言っても過言ではない。青年会議所の三
           信条には個人の修練(トレーニング)・社会への奉仕(サービス)・世界との友情(フレ
           ンドシップ)が掲げられている。この三信条のもとに活動や運動を展開していくことで
           個々の能力が計られ自分に欠けている部分を明確にできる。また、青年会議所では失敗
           することが認められている。幾度と議論を重ね、信念を抱いて挑戦したことが芳しくな
           い結果であろうとも、この失敗から得られる反省は今後の活動や運動、そして自分自身
           に多大なる成長を齎すからである。また、地域に変革を与え続けていくには途轍もない
           エネルギーが要すると同時に、使用したエネルギーから得られる英知、勇気、人道から
           なる人としての魅力は必ず個人に返ってくる。青年会議所が推進するまちづくりとは人
           づくりである。まず我々が地域の先駆者として魅力的な人の模範となれるよう会員相互
           で切磋琢磨し自己啓発を意識することが必要である。

 

           【魅力的な地域へ】
            魅力的な地域へと変貌を遂げるには、地域社会の問題について市民や企業をはじめと
           した地域の構成員が、自らその問題の所在を認識し、自律的かつ、その他の主体との協
           働を図りながら、地域問題の解決や地域としての価値を創造していくための地域力を高
           めなくてはならない。そして、この地域力の原動力となっているのが我々も含む地域の
           若者である。
            曽ては地域の若者同士が中心となり伝統文化を受け継ぎ文化的行事をもとに地域に
           活力を齎し、更には次世代を担う子どもへ文化の伝承を行う中で社会的・人道的教育を
           行い地域力へと繋げていた。近年では、時代の流れと共に若者の思想は変わり地域に対
           する想いが薄れ、現代的且つ未来的な魅力を求めようとしている。しかし、決して故郷
           の歴史的文化・郷土愛・社会に対し無関心なわけではない。また、公職選挙法改正に伴
           い18歳から選挙権が与えられ社会的責任を自覚し始め、本来持つ若者の漲る力や理想
           的考えを選択する機会が与えられ、社会や地域に対する違和感を拭い去れる絶好の機会
           が訪れている。だが、現状は伝統を守る意識や地域行事への参加意欲はあるが、社会情
           勢の流れと共に地域内において若者同士の交流が減り自ら地域の除け者と決めつけ地
           域離れに繋げている。言わば若者は今、地域の弱者となりつつあるのだ。
            我々には、地域力の醸成を図るために人びとに夢や希望を与え、勇気づけ、人が本来
           持っているすばらしい、生きる力を湧き出させるエンパワメント(湧活)に若者と共に
           力を注がなければならない。また、若者や低迷地域などの地位向上を図るため、下位の
           者から意見や提案を分析し実現するボトムアップと共に、活動のネットワークが生み出
           す信頼、自覚、自信、責任等の関係資本を育むことが、エンパワメント向上の大きな鍵
           となる。我々は若者同士の関係資本を膨らませ若者と共に地域の魅力と歴史的文化に新
           たな風「流行」を創出していくことが魅力的な地域への第一歩と繋がる。

 

           【経済発展の醸成】
            氷見青年会議所では、これまで経済及び産業発展の取り組みに力を注ぐことはしてい
           ない。何故ならば会員それぞれが青年経済人であり、経済人としての使命であるからで
           ある。そもそも経済とは、経世済民(経国済民)
「世を経(おさ)め、民を済(すく)
           う」が語源であり、言い直せば「世のため人のため」の利他的考えの意味である。現代
           では政治的・社会的にも幅広い意味で使われているが、お金儲けのためだけでなく広く
           世のため人のための経済としての考えが必要である。
            近年では「経済(産業)の発展なくして地域の発展なし」と思想の変化が生まれてい
           る。なぜなら、経済の衰退は日常生活に直接の影響を及ぼすからである。そして、経済
           の不安は心のゆとりをも奪ってしまい、「自分の会社がよければ他はどうでもいい」「利
           益を出しさえすればいい」などの利己的思想が膨らみ地域社会との決裂に拍車をかけて
           しまう。決して各社の事を思えばこの考えが間違いとは言い切れないが、現代の社会情
           勢を伺うと企業や個人が自己利益を最優先して物財を生産し市場の仕組みによって分
           配する形態の市場経済より、生産や分配などの主要な経済活動が慣習や文化によって大
           きく規定された伝統経済の考えに将来性を伺えられる。
            氷見の壮大な自然が齎す豊富な資源と共に発展してきた地域文化に地域産業を融合
           することによってブランド性が確立する。更に、魅力ある新たな産業を統合する事によ
           って新たなブランド性が形成され経済発展へと繋がっていく。私たちは青年経済人とし
           ても地域力の向上と同様に、地域産業にエンパワメントを育み地域経済に新たな風「流
           行」を創出していくことが青年経済人として青年会議所としても必要である。

 

           【結びに】
            今我々がこの世に生をなし故郷の発展に尽力できるのは、先人がここ氷見に生活拠点
           を置き開拓を進め社会・経済・文化の発展に努めてきたからである。この発展の影には
           先人の逞しい努力、郷土への愛着心、次世代への伝統や技術の伝承、そして未来を託さ
           れた私たちへの希望が幾年に渡り紡がれてきた事を忘れてはいけない。この新しい時代
           文化が起ころうとする黎明期に新たな風「流行」を創出するためには、現代・未来を想
           像するだけでなく、過去の歴史や経済発展の経緯、社会的思想の移り変りを学ぶ事が必
           要である。何が発展で何が衰退なのかを図る物差しは過去の発展・社会情勢と比較する
           からである。しかし、現代より過去が劣っているとは言い切れない。時には過去の思想
           や習慣が現代に必要とされている事柄が多々見受けられるからである。過去の思想や発
           展の過程を現社会に再び構築することも発展であり新しい時代文化と捉えられる。歴史
           があるから現代がある。現代があるから未来がある。私たちは時代の移り変りと共に常
           に社会情勢を伺い、地域社会の課題を克服しつつ新たな風「流行」を創出していくこと
           が我々一般社団法人氷見青年会議所の使命である。

 

           基本方針
            ・全会員で取り組む会員拡大
            ・会員一人ひとりの自己啓発
            ・地域力の創出
            ・経済発展への醸成
            ・魅力的組織の構築
            ・組織の円滑な運営